| 三枝 成彰 (作曲家) |
HASHIこと橋村奉臣さんの写真を見るとき、人は誰でも驚きと、不思議な心のざわめきをおぼえるに違いない。
世にはさまざまな写真家がおり、そのアプローチもさまざまであるが、中でも橋村さんの作品はその透明度と鋭さにおいて突出している。画面にあいまいなものはいっさい写っていない。すべてがクリアである。長いあいだ見ているのが怖くなるほどに、こちらに迫ってくる写真だ。風景、人物、静物、広告。どんな素材をどんな目的で撮っても、本質にずばりと切り込む橋村さんの姿勢は一貫している。
およそこの世にある人も、物も、自然も、止まってなどいない。それぞれに生きて、流れて、動いている。その無限の動きの一瞬をつかまえて、定着させること。それが写真の原点だというのなら、橋村さんの仕事を見ればいい。そこにはまさに、写真という形でしか表現しえない、「一瞬の永遠」とでも呼ぶべきものが、息づいている。橋村さんが写し取ったものは、その対象が写されたときのまま、画面の中でも生きて、流れて、動いている。フリーズしているはずの対象が写真の中でも息づいているのを感じるから、それを見たとき私たちは驚かされるし、心がざわめくのだ。そんなことができる写真家は、橋村さん一人である。
今回催されるHASHI展は、そんな橋村さんの今までの仕事を集大成したものとなる。私はこの展覧会に大きく期待すると同時に、怖さも感じている。それはなぜか? こちらも気合いを入れて見に行かないと、写真の一枚一枚にこめられた橋村さんの気迫に、負けてしまうと思うからである。こんな思いにさせてくれる写真家も、彼以外には見当たらないだろう。
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